筑波大 来春から寄宿料値上げ 学生と大学の駆け引き続く

公開日:2026/10/30

でシェア

 昨年末に本学をにぎわせた寄宿料値上げ騒動。説明会での千葉学生担当副学長の不適切発言や相次いで表明された学生からの指摘を受け、今年3月末に「最大1年」の延期がなされていた。

関連記事「【速報】筑波大宿舎、2027年4月から寄宿料値上げ」

 9月28日付の告知文書によると、値上げ額は既に発表されているものと同額だが、バリアフリーに対応した居室がある一の矢宿舎の一部では、入居希望者がヒューマンエンパワーメント推進局(BHE)に相談・申請の上、必要性が認められれば値上げ前と同額とする措置が追加された。告知文書には、値上げの理由として施設の老朽化や物価上昇に伴い現行の寄宿料では対応できなくなったためと説明しているほか、今までに開催された説明会や動画公開や質問の受付などの試みが列挙された。別紙ではQ&Aも公開されている。

 延期決定後、5月14日~6月2日にかけて「対話」の取組が実施された。それに先立って実施されたアンケートでは入居理由に「寄宿料が安価だから」(40.9%)、「学住近接で通学しやすいから」(33.0%)が挙げられた(→第2号参照)。筑波大学新聞の報道(393号10面)によれば、今年の新入生の入居率は34.3%(757名)と、昨年度の入居率の47%を下回った。新入生のAさんは「値上げが不透明なので近隣のアパートへの入居を決めた。大学の杜撰な対応を知って入居をやめた人は多いのではないか」と話す。

 Q&Aでは経済的な論点について「宿舎への入居の有無にかかわらず、入学料・授業料の免除や徴収猶予、各種の奨学金があります」とし、宿舎を通じた経済支援の側面には言及していない。「対話」で出た各種論点は、学内唯一の学生組織「全代会」が取りまとめて協議を進めていた。10月26日に全代会は公式HPを更新してこれまでの値上げへの取り組みを明らかにしたが、「安さ」が最多となったアンケート結果について言及はなく無視される結果となった。入居学生には「1年間の延期が無に帰した」などと反発が広がっている。(井守矢守)

大学は値上げ理由に赤字を強調も、2年次以降の学生を400人近く追い出す

当事者団体、2度目の団体交渉申入れで継続入居枠(2年次以降の学生の入居枠)の拡充を要求

 今月13日、当事者団体「筑波大学学生宿舎寄宿料値上げ撤回を求める会」(以下、「撤回を求める会」)が大学に提出した申入書は、3月23日の申入れに引き続き2度目となる。なかでも注目される要求項目は「継続入居枠」を拡充して入居者数を増やすことだ。筑波大は値上げの理由として、現行の寄宿料では赤字になることを強調しているが、筑波大学新聞393号によると、2年次以降の学生が入居できる継続入居枠は昨年1033戸から465戸へと大幅に減少しており、823人の応募者の半数近くが退去を余儀なくされた。

 入居学生によると、継続入居枠は近年で減少の一途をたどっているため、継続入居を希望する多くの学生が退去を迫られているという。背景には、筑波大学が第4期中間目標で示す「新入生8割の宿舎入居」が影響している。新入生の8割にあたる1768人が入居する部屋を確保するため、2年次以上の学生の継続入居枠は削減されてきた。その一方で、今年の新入生の入居者は757人で、目標の42.8%にとどまった。筑波大は、宿舎は独立採算であるため黒字化を目指すための値上げであるとの説明しているが、経営黒字化と相反するこうした措置には、今までの説明会でも学生から指摘が寄せられてきた。入居学生のBさんは「友人たちがやむなく退去する姿を見てきた。なのに赤字で値上げとは大学は現実が見えてない」と不満を漏らす。当事者団体の申入れが不合理な経営の解消に寄与するか注目が集まる。(一の矢兵太郎)

← ホームへ戻る