【独自】筑波大学長選考 推薦候補は現職・永田氏のみ

公開日:2026/10/19

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意見聴取で白票が922票、有効票の約4割

 今年度末の任期満了に伴う筑波大の次期学長選考を巡り、教育研究評議会は現職の永田恭介学長(73)を唯一の候補者として学長選考・監察会議に推薦したことが、本紙の取材でわかった。これに先立って実施された教職員による意見聴取(意向投票)では永田氏が1460票を獲得したものの、有効票の4割近くを白票(922票)が占めた。最終的な選考権限を持つ学長選考・監察会議が今後、永田氏を次期学長に任命申し出するかどうか審議を行う。(天久保さくら)

投票率も約4割に留まる

 今回の学長選考手続きは、今年7月21日に推薦された候補者が公示され、8月18日には教育研究評議会の主催により、オンライン形式で「次期学長候補者と教職員との対話の会」が開かれた。教職員への意見聴取は8月24日~9月4日にかけて行われた。公示された集計結果によると、対象者5735人に対し、有効票数は2382票で投票率は約41.5%にとどまった。

 得票の内訳は、
▼永田恭介氏:1460票(有効票の約61.3%、対象者全体の約25.5%)
▼白票:922票(有効票の約38.7%)
▼無効票:0票。

 単独候補への信任を問う事実上の信任投票となる中、約41.5%という投票率の低さ、投票総数の約38.7%に達した白票の多さは、候補者が一本化された選考プロセスや、体制のさらなる長期化に対する、教職員の不満・疑問の表れとみることもできる。

永田氏所信「社会変革のエンジンに」入試・教育改革を掲げる

永田恭介氏の肖像写真
これまでに通算5期14年筑波大学長を務めた永田恭介氏(出典:内閣府男女共同参画局資料より作成/Wikimedia Commons)

 唯一の候補者として推薦された永田氏は、所信表明の中で「固定化された社会の変革への挑戦」を掲げた。日本の「失われた30年」や少子化による学術基盤の低下に強い危機感を示し、指定国立大学法人である筑波大が「固定化された社会を変革するエンジンとなる決心をすべきだ」と主張した。

 具体的な施策として、以下の改革方針を示している。▼教育・入試改革:学群・学類の組織見直し(学類の学位プログラム化)や「3+3/4+3制」などのカリキュラム改革の導入。さらに日本人と留学生の入試枠組みのあり方の再考や、潜在力・異能を見出す入試制度の開発。▼研究体制の再編:高等研究院や学術センターシステムを通じたグループ研究の推進と、オープンイノベーション拠点の新設による産学共創の加速。▼地域・国際連携:スーパーシティ特区であるつくば市を舞台とした「筑波研究教育共創体(仮称)構想」の推進や、同大が展開する海外連携枠組み(Campus-in-Campusなど)や欧州の研究助成プログラム(Horizon Europe)の積極活用。▼ガバナンス:倫理観や共感、責任感に根差した「信頼」を組織運営の基盤とし、コンプライアンスを徹底するマネジメント。

投票結果の無視・任期上限撤廃は筑波大が2020年に先行

東大初の女性総長も 意向投票結果を無視

 現在、東京大の総長選考が話題になっている。今年9月末に実施された教職員による意向投票では、染谷隆夫教授が過半数の1107票を獲得したにもかかわらず、総長選考・監察会議は得票数2位(553票)の藤垣裕子教授を総長予定者に選定した。選考会議は「文理融合や変革を牽引する総合力」などを選出理由に挙げたが、2倍もの票差がついた意向投票の結果を覆した経緯の不透明さに対し、教職員有志が10月中旬に選考経緯の説明を求める要望書を提出するなど混乱が広がっている。

 しかし、同様の問題は筑波大ではすでに2020年に起きていた。同年の学長選考では、教職員による意見聴取で対立候補の松本宏教授が951票を獲得し、永田氏(584票)に1.6倍の大差をつけて1位となったが、学長選考会議(現・学長選考・監察会議)は意向投票の結果を覆し、永田氏の再任を強行した。ほかにも、京都大や新潟大などで、意向投票結果を無視する選考が相次いでいる。

14年を超える異例の超長期体制に?

 さらに、筑波大独自の問題として、学長の任期上限がないことがあげられる。従来、学長任期は「最長2期6年」と定められていた。しかし2020年4月、学長選考会議が「改革の継続性」などを理由に、学内への十分な説明がないまま任期制限を撤廃した。今回永田氏が再任すれば、通算14年を超える異例の超長期体制になる。

 教員の1人は本紙の取材に対して、「対立候補を立てられないまでに筑波大学の自治、民主主義は崩壊している。しかし、それでも白票の数がすべてを物語っている」とコメントした。

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