筑波大全代会は宿舎費値上げ追認の姿勢 交渉ほとんど進展なし

公開日:2026/8/9

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筑波大全代会は宿舎費値上げ追認の姿勢 交渉ほとんど進展なし
本紙が入手した学長懇談会に向けた会議の議事録の一部

3月開始のはずが…… 空白の4カ月

 昨年度から筑波大学新聞で報道され、注目が集まっていた筑波大学生部と全代会との協議。しかしその進捗は全代会公式HP以外ではほとんど告知がなく、その内実はヴェールに包まれていた。この度、内部文書の提供によって協議の進展に関する新情報が本紙にもたらされた。

 3月26日時点で、全代会は大学との協議を次の通り実施したと告知していた。全体的な方針に関する意見交換:1月6日・3月2日・3月24日、▼実務レベルでの協議:1月28日。また教職員と学生から構成される学生生活支援室と議長団との会議を、週に一度のペースで行っているとしている(全代会公式HPより)。

全代会公式サイトの文章:2026年3月26日 学生宿舎等の生活環境について副学長との継続的なミーティングを開始  全学学類・専門学群・総合学域群代表者会議(全代会)は、筑波大学の学長決定等で定められた、学生の意見を集約し、学生のニーズに根ざした活動を行う組織です。  この度全代会は、千葉親文学生担当副学長を交えた形で、学生宿舎等を含めた大学の生活環境のあり方等に関するミーティングを継続的に開催することに関して大学側と合意を形成しました。  これは、既存の「学長と全代会構成員との茶話会(今年度開催記事)」や「副学長等との懇談会(今年度開催記事)」とは異なる枠組みとなり、より高頻度に開催される見込みです。既に複数回開催されており、学生宿舎の寄宿料等や学内の食堂に関してなどに関して活発な議論が行われております。  全代会は今後も、学生の声を大学に届け、よりよい学生生活の実現に向けて尽力してまいります。公開可能となった情報は適宜本WebサイトやXアカウント(@public_zdk)等で発信させていただきます。学生の皆様におかれましては、ご理解とご協力をいただけますと幸いです。  2026年3月29日時点までの全代会の対応(補足) 既に行われた寄宿料等に関するミーティングの日程及び回数について問い合わせがあったため、補足いたします。  昨年12月の値上げ告知以降、現時点までに全代会では、協議の性質や参加範囲に応じて、主に以下の2つの枠組みで大学側と対話を行ってまいりました。  全体的な方針に関する意見交換 副学長、学生部長が出席し、全代会側からも議長団以外の構成員を含めた広範な代表者が参加して、協議・意見交換を行った場です。 1月6日、3月2日、3月24日 実務レベルでの協議・調整 副学長、学生部長と、全代会側は議長団に絞った少人数で、具体的な制度設計や運用の調整について詳細な協議を行った場です。 1月28日 上記のほか、実務的な連携を維持するため、学生生活支援室と全代会議長団による定例ミーティングを週に1回のペースで継続的に実施しております。
全代会「学生宿舎等の生活環境について副学長との継続的なミーティングを開始」より(2026年8月9日閲覧)

 これら寄宿料に関する協議は、筑波大学新聞が391号(2月18日発行)で報じており、3月には協議が開始されるとのことだった。しかし公式HPで報告された日のどの資料にも寄宿料協議に関して記述が見当たらないことが、関係者への取材で明らかになった。資料の一部には、寄宿料が項目立てられているだけで白紙のものもある。全代会は協議に必要な枠組みの整備に時間を費やしているようだ。

内部資料「値上げは飲み込む」 主眼は価値向上に

 全代会の議論の状況を、全代会に参加していない学生が知る機会は皆無に等しい。しかし入居学生を無視する議長団の方針に反発する構成員も少なからず存在するようだ。今回本紙に内部資料を提供したBさんもその1人だ。提供資料は6月から7月にかけての議事録。全代会構成員なら誰でも確認できるという。

 7月9日の学長懇談会に向けて6月に行なわれた会議で、常任委員会のひとつの生活環境委員会(以下、生環)は、懇談会での方針として、寄宿料値上げは「合意」、宿舎の価値向上に主眼を置くことを提起した。議長団は懇談会で学長から有意義な発言を引き出すことを重視しており、生環が示す宿舎の価値向上が大学との合致点と見なしている。6月2日の全体対話に関しては、学生部から発言者として全代会構成員の出席が打診されていたことについて「もし断らなかったら全代会は学生部の犬だと思われかねなかった」と振り返る場面もあった。

 値上げ合意に関しては「なにもいわない」「賛成も反対もない」と、合意形成への関与を重視してその内実を不問とすることで出席者の意見集約が行われた。かねてより指摘されていた借地借家法の適用についても、懇談会では宿舎が行政財産とする大学の主張に沿って議論を進める方向に決したようだ。全代会はコミュニティ創設を通じて価値向上に寄与していく方針に固まりつつある。

 今年4月に罷免された構成員は生環に所属していた。入居学生に値上げの納得度を調査すべきとの意見を示していたが、罷免以降実施の兆しは皆無だ。圧倒的な大学優位の状況を前に、議長団や生環幹部は敢えて全学の意向を調査しないことで、大学側の意向に柔軟に対応できるようにしているといえよう。寄宿料に関する大学との協議が進んでいないのも、宿舎が住居なのか大学施設なのかという、大前提のすり合わせに失敗しているからだと言えそうだ。

 資料を提供したBさんは、罷免されたくはないがと冗談めかして笑いつつ「価値向上は大学が説明会で示した値上げ根拠のひとつ。コミュニティの刷新は値上げに関係なく進めればいい。なのに値上げを認めるのは大学の機嫌を損ねたくないからでは」と、議長団の思惑を推測する。

エアコン設置の前倒しも黙認 無責任な発信に当事者団体猛反発

 宿舎経営により生じる年間4億円の赤字のうち1億4千万円を占めるエアコン設置(→6月号参照)に関しても、全代会は大学への追従姿勢を見せている。

 6月24日、全代会は「エアコン未設置の宿舎に住む方へのお知らせ」と題して公式SNSを更新、「学生生活課に学生の声としてエアコン設置を要望した結果(中略)有料でエアコン設置をが進むことになりました!」と、新学期以降供給が滞っていたエアコンの設置が開始されると告知していた。一方で、費用が値上げの根拠のひとつであるエアコン設置経費に等しいため、疑念の声も広がる。

 こうした事態に反発を強めるのは入居学生たちだ。6月24日、現行の寄宿料の高さに疑問を持つ学生有志によって今年4月に結成され、他大と同水準の寄宿料設定を目指す当事者団体「筑波大宿舎値下げ運動推進本部」は、公式SNS上で「値上げに伴うエアコン設置を前倒ししただけ」と反論、全代会の発信を「ナンセンス」と糾弾した。2日後には「撤回を求める会」もこれに同調、当該発信を「悪質行為」と批難している。

 大学の案内が翻ったため従来より高額での契約をせざるを得なかった学生もいる。筑波大はエアコンに関して「学生への補償は考えていない」と回答している。大学は取り合わない学生の不利益を、全代会も顧みないようだ。(一の矢兵太郎)

(この記事は、2026年7月23日に公開したものを改めたものです)

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