「全学生の代表」の根拠は、学類代表の参加
筑波大学が公認する唯一の学生組織「全代会」。複雑な組織構成や規模の大きさから実態をイメージできない人も多いのではないのだろうか。入学直後に選出されるクラス代表との関係も含め、全代会の組織構成に迫った。(井守矢守)
全代会について定める学内文書には、次の3つがある。クラス・学類から全代会までを網羅的に定めた▼学長決定「筑波大学の学生組織等について」(平成18年制定)、組織体系を定めた▼副学長決定「筑波大学における学生の組織及びクラス連絡会等について」(平成18年制定)、運営に関する規程は▼「全学学類・専門学群・総合学域群代表者会議について」(令和2年制定・通称「内規」)が定めている。
全代会の根幹を成すのは各学類に存在するクラスから選出される代表者(クラ代)と、クラ代らによって学類単位で組織されるクラス代表者会議(クラ代会)だ。クラ代会から選出された座長と副座長は、学類代表として全代会本会議で議題の審議に参加する。「副学長決定」が全代会を「全学生の代表組織」と規定する根拠が、この座長・副座長を通じた学類代表の参加だ。「学類」の名前が付かない体育・芸術専門学群や、共通テスト開始の2021年に新設された総合学域群からも代表者が選ばれる。意思決定の場である本会議に提出する議題や取りまとめの事務は、6つからなる常任委員会(総務・学内行事・教育環境・生活環境・調査・広報)が担い、学生の意見は常時フォームで受け付けている。
大学院や留学生との接続は依然課題
一方で、「学長決定」の規定する組織が「学士課程の学生」を対象とするように、大学院生は全代会に代表を選出しておらず、院生の自主組織が全代会に接続する機会は皆無だ。また留学生は学類1年次からの入学者を除いて、代表選出の機会は確保されていない。クラス代表者が選出されるタイミングは、入学直後に開催されるクラス会だからである。学士課程の途中からの編入学や短期留学者、そして大学院への入学者はクラ代会や全代会に関与する機会がほとんど確保されていない。
学生の意見表明の場は、確保されているようで実態は手狭と言ってよい。寄宿料値上げ、そしてこれに並行して進む留学生学費値上げで打撃を受ける学生の意見が全代会の意思決定にどこまで反映されるのかには疑問が残る。
現議長団が挙げる課題 宿舎費値上げ当事者団体を意識?
宿舎費値上げにかかわった構成員に罷免処分(記事「筑波大全代会 宿舎値上げ反対派を「情報漏洩」理由に罷免」を参照)を下した議長団は今年4月の改選で退任し、新議長団が発足している。新任の綱木議長は立候補に際し、解決すべき課題に▼教員との接点、▼学群と大学院の隔絶、▼情報公開の三点を挙げていた(→第2号参照)。
この方針に対する疑念を本紙に寄せた学生がいる。提供元は宿舎費値上げ当事者団体「撤回を求める会」運営メンバーの1人。全代会の発信と当該団体の議事録に関連性があるというのだ。院生が全代会に関与できないことや全代会の情報公開体制の不透明さは4月に「撤回を求める会」での議論で指摘され、議事録に記載されていた事柄だった。メンバー曰く、会の議事録はディスコ―ドサーバーに入れば誰でも入手可能である。「全代会の側から撤回を求める会に接触したりしてきたことはない。なのに議事録を見ているとしたら不気味だ」と述べる。また「他大学に学ぶ」との綱木新議長の方針についても疑問が残るという。「集会では他大の自治会や学生寮入居者と連絡を取っているメンバーからの情報が共有されることもある。それが会の議事録に残っていることに関係があるのだろうか」と訝しむ。